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今回の新型コロナウイルス感染症パンデミックによって、私達の生活は大きな変化を強いられました。
ニューノーマル「With コロナ」の時代です。
世界中の多くの企業でリモートワークが推進され、以前にも増して、さまざまな申請書類や手続きのほとんどがオンライン上でできるようになりました。
収集したデータをもとにマーケティングを行ったり、ITやAIの技術を使って新しいサービスを顧客提供していくといった業務改革も積極的に行われています。
また情報もデジタル化が進んで、Webサイトやメルマガ、SNSなどのツールによって私達の生活はますます便利になり、スマートフォンやタブレットが今や生活必需品です。
そこで「Withデジタル」の時代となった今、次のステップとして「×デジタル」の時代を考えます。
デジタルコンテンツの急速な普及に伴って、「紙媒体は衰退する」と言われ続けてきましたが、それでもDM、雑誌、本、折込や新聞など、今日も私達の傍にあり続けています。
日本ダイレクトメール協会によると、DMの現在の広告費は今も3701億円もあり、日本の総広告費6兆3907億円に対する5.8%にもなります。
テレビ、ネット、新聞、折込に続き、5位がDM。
そして驚くべきは今、特に若年層がDMを好意的に受け入れているということ。
デジタル時代を生きてきた若者になぜ好まれているのでしょうか?
その理由として今の若者は「デジタル」に囲まれて育ってきており、今や大量に供給されるデジタルコミュニケーションに飽きて、DMに新鮮な印象を受けているのではないでしょうか。
未だにたくさんの可能性と魅力を持つ「DM」。
テクノロジーを有効活用できるDMは、新しい価値を持つようになりました。
では「DM」のメリットとデメリットを見てみましょう。
ーメリットー
・信頼性の高さ
1度送付されてしまうと修正ができないため、ライター・編集者・発行責任者などの多くの人のチェックが入り客観性と信頼性は高いものがあります。
・保管性・記憶への定着力
DMは物理的に手元に残り、記憶に残りやすいことが特徴です。
・実際に触ることができ、紙の質感自体も魅力のひとつ
DMの最大の魅力はポストに投函されて、必ず手に取ってもらえるという特性。
紙の感触、視覚からの情的な影響、重さ、印刷の香り、開封する時の行動など、受け取る人への五感に働きかける要素がたくさんあります。
ーデメリットー
・即時性がない
・情報量の制限
・修正ができない
・情報拡散力の低さ
デジタル媒体で代表に挙げられるメルマガと「DM」の受け取り側の対応を比較した結果が非常に興味深いものでした。
〈紙DM〉
ほとんど開封して目を通す 18.8%
開封した上で興味がなければ捨てる 45.4%
封筒を見て開封するか決める 29.4%
開封せずに捨てる 6.4%
〈メルマガ〉
Eメールほとんど開封して目を通す 5%
開封・閲覧したうえで興味がなければ削除 16%
メールの件名を見て開封するか決める 57.6%
すぐに削除する 20.4%
メルマガはDMとは違い、1週間の受取率はなんとDMはの約11.8倍になります。
大量に流れ込んでくるメルマガに関しては1つ1つ開封・閲覧はせず、「件名だけを見て決める」人が圧倒的に多く、件名によっては、すぐに削除する人も20%という大きな割合を示す結果となりました。
一方で嬉しいことにDMの開封率の高さが証明されたことになります。
さらに10社以上の企業との実証実験では、メルマガ単体での訴求力よりもメルマガとDMを兼用した方がサイトアクセス率や注文数が高いといった結果が得られました。(*内容は同じもので、いずれもクーポン付き)
〈GroupA〉
紙DMを送付したのち⇒E-mailを送った
アクセス数 23%
注文数 14%
クーポン利用率 21%
〈GroupB〉
E-mailを送ったのち⇒紙DMを送付した
アクセス数 23%
注文数 12%
クーポン利用率 18%
〈GroupC〉
E-mailのみ2回送った
アクセス数 10%
注文数 3%
クーポン利用率 4%
この数字を見ても明らかなように、「アナログ×デジタル」にすることでより効果がみられるということです。
またメルマガと比較したDMのよい所には以下のような意見がありました。
・スマホのクーポンと比べて紙のクーポンは見やすいし、出しやすい
・メルマガと比べてDMの受け取り数は許容できる数
・自分だけに(わざわざ送料をかけて)送ってきてくれているという感覚がある
ここからも受け取り手は「DM」にとてもポジティブに捉えていることがわかります。
調査結果を見ても明らかなように、「DM」は今もマーケティングの有効な手段であること。
デジタルかアナログかという選択をするのではなく、2つを組み合わせたマーケティング戦略を実施するべきということです。
紙DMは今後、デジタルと連携することでより進化できるのかもしれません。
紙媒体のデメリットをデジタルで補って両媒体の特性や人間の感覚をうまく利用すれば、さらに意外性を演出することもできるはずです。
DMを送付した後に、「メンバーだけの特典DM」などとSNSで拡散し、新規顧客の獲得を狙う。
思わず読んでしまう仕掛けをDMに施し、デジタルサイトへ誘導する。
DMを送付した後にリマインドのメールを送り、受け取り手へ「特別感」「パーソナライズされたサービス」を演出することも可能です。
「VSデジタル」という考え方はもう古い。
デジタルにあるメリットは最大限に受け入れ、アナログにあるメリットを引き続き使用していく「×デジタル」という新しい考え方で「DM」を活用していく時代が訪れたと言えるでしょう。