データドリブンマーケティングを今、取り入れる!

公開日:2025年07月28日 / 更新日:2025年01月02日

今、マーケティングにおいてキーワードとしてよく聞かれるのが「データドリブン」という言葉です
データドリブンとは、Date Driven「データによって動かされる」つまり、データに基づいて行動や方針を決定することを意味します。

今、企業の競争力を高めるために、データドリブンを本格的に組織に取り入れたいという企業が増えており、データドリブンマーケティングや、データドリブンを軸とした経営手法は、日本では2017年ごろから関心度が高まり、最近では経営幹部にデータ活用の責任者(CDC)を据える企業も見られます。

これまでのマーケティングは、マーケティング担当者の知見や経験に基づいた意志決定で行われることが多くありました。
しかし、消費者の行動や市場環境が急速に変化し、従来の感覚や経験だけでは効果的なマーケティング戦略を立てにくくなっているため、感覚ではなく、確かなデータに基づいた意思決定が成功の鍵となります。

では、データドリブンマーケティングとはどんなものなのでしょうか。
本日は、データドリブンマーケティングの基本的な考え方をご案内します。

なぜデータドリブンが必要とされているのか

企業の経営やマーケティング活動などに関する判断・行動を、商品の売上数や傾向、Webサイトでのユーザーの動き、顧客の属性・嗜好といったさまざまなデータに基づいて決定するといった「データドリブンマーケティング」が今、必要とされているのにはどのような理由があるのでしょうか。

企業のマーケティング担当者も、自身の勘や経験だけで試作は考えておらず、やはりデータを参考に、商品企画や販売戦略を決定していたに違いありません。
にもかかわらず、あらためて「データドリブン」という意義が強調されるようになった背景には、いくつかの理由があるように思います。

背景1:消費者行動の複雑化
現代の消費者は、複数のチャネルやデバイスを使って情報収集・購買活動を行い、行動パターンがますます多様化しており、データを活用すれば、こうした複雑な行動を追跡し、最適なタイミングで適切なメッセージを届けることが可能になる

背景2:テクノロジーの進化
AIやビッグデータ分析、クラウドコンピューティングなど、データ活用を支えるテクノロジーが急速に進化しています。これにより、大量のデータを収集・分析し、実用的なインサイトを得ることが以前より簡単になりました。これらの技術を活用すれば、より高度なターゲティングやパーソナライズが実現できる

背景3:マーケティングROIの向上
マーケティング活動における予算対効果(ROI)を最大化するために、データを基にした施策の最適化が重要視されています。データ分析を活用することで、効果的なチャネルやキャンペーンを特定し、無駄なコストを削減できる

背景4:パーソナライズのニーズ拡大
消費者は、画一的なメッセージよりも、自分のニーズに合ったパーソナライズされた提案を求めるようになっています。データドリブンなアプローチにより、消費者一人ひとりに合わせた体験を提供することが可能

背景5:リアルタイム対応の必要性
市場の変化や消費者の関心が急速に移り変わる中で、マーケティング施策の迅速な展開が求められています。リアルタイムでデータを収集・分析し、即座に対応できることが競争力を高めるポイントになります。

背景6:競争の激化
競合企業もデータ活用を進めており、これに追随しなければ競争で不利になる可能性が高く、データを活用することで、他社との差別化ポイントを明確にし、優位性を確保できる

背景7:顧客満足度とロイヤルティの向上
データを活用することで、顧客の期待やニーズをより深く理解し、それに基づいた価値提供が可能になります。これにより、顧客満足度を向上させ、リピート購入やロイヤルティを高めることができる

背景8:測定可能な成果の重要性
データドリブンマーケティングは、施策の効果を数値化して可視化するため、より正確な成果測定と改善が可能です。具体的なデータに基づく評価は、マーケティングの透明性と信頼性を向上させる

このような多くの背景が絡み合い、この柔軟性と精度の高いデータドリブンマーケティングは、今、注目されているのです。

データドリブンマーケティングを成功させるステップ

では、実際にデータドリブンマーケティングを始めるための具体的なステップはどのようなものなのでしょうか。
大きくわけると「目標をたてる」➡「データを収集する」➡「データを整理・統合」➡「分析」➡「戦略実行・効果測定・改善」となり、流れはPDCAによく似ています。

まずは、①目標設定ですが、マーケティング試作の目的を愚痴的にかつ測定可能な形で定義することです。
具体的な目標を設定するためには、曖昧ではなく、行動に結びつく形で設定し、達成度を客観的に評価するために、具体的な指標を選びます。
例えば、コンバージョン率、リード数、メール開封率など、数値で評価可能なものを設定することで、進捗を追いやすくなるでしょう。

そして、その 目標には期限を設け、いつまでに達成するかを明確にすることで、チームのスケジュール管理が容易になります。
例えば、「売上を増やす」ではなく、「オンラインショップの売上を3ヶ月で20%増加させる」とすることで、行動計画が立てやすくなります。
このように目標を明確にすることで、チーム全体の認識を統一し、データ活用の基盤を整え、リソースを効率的に活用することができます。

次が②データの収集です。
収集できるデータには・購買履歴・アクセスログ・メール開封率・市場調査データ・競合データ・SNSデータ・NPSデータ・ミスクレームデータなど、データ収集ツール(CRM(顧客管理システム)、Google Analytics、SNS解析ツール))を使い、効率的に正確で多様なデータを収集します。
正確なデータ収集は、分析精度を高め、ターゲット顧客への最適な施策設計に欠かせません。

そして集めたデータを③整理・統合していきます。
重複データや不正確な情報を削除し、異なるソースのデータを統合するなどして、一貫性のあるデータ基盤を構築、可視化することで、データの品質を上げていきます。

その後、いよいよ分析です。
分析には顧客の基本セグメンテーション(年齢・性別・購買履歴・興味関心)や行動パターンの特定(時間帯別アクセス数や購入傾向など)さらにトレンド予測(AIなど活用し将来的な行動やトレンドを予測)などを行っていくことができます。
整理・統合したデータを基に顧客の行動や市場の動向を理解し、施策に活用するためのインサイトを得たり、有益な情報を引き出し、マーケティング施策を最適化します。

こうして立てられたマーケティング施策を④実行し、その効果測定をおこなって、結果をさらに分析し改善に繋げていきます。
これを繰り返していくことでマーケティング施策を継続的に最適化していくことが可能になります。

データドリブンマーケティングの注意点

データドリブンマーケティングにおいて、データ活用が効果的な施策に繋がる一方で、正しく扱わなければ誤った結論やリスクを招く可能性もあります。

注意点1: データの品質に依存する
データが不正確、不完全、古い場合、分析結果も信頼性を欠き、その結果、誤った意思決定につながりかねません。例えば常に顧客情報が更新されていないと、既に離反した顧客に対して施策を展開してしまうことになります。

注意点2:データの偏り
収集されたデータが特定のセグメントや状況に偏っていると、全体像を正確に反映できません。

注意点3:過度なデータ依存
データに頼りすぎると、創造的なアイデアや直感的な判断が軽視され、ブランドストーリーや情緒的な訴求が不足してしまいます。

注意点4:プライバシーとコンプライアンスの問題
個人情報の不適切な利用や、プライバシー規制(例: GDPR、CCPA)への違反は信頼を損なうリスクがあり、ブランドイメージ低下を招く可能性があります。

注意点5:データ解釈の誤り
データを誤って解釈すると、非効果的な施策や無駄なリソース投入が発生し、期待する効果を生まないことがあります。

注意点6:分析が施策に活かされていない
ツール導入をしたり、データ分析をして満足してしまい、施策に活かせていないことが多くあります。
現状を把握しただけではデータの意味はありません。

データドリブンマーケティングは、正確なデータの活用によって効果的な施策を可能にしますが、その運用にはリスクや制約が伴います。これらの注意点を理解し、データの品質、バランスの取れた活用、プライバシーへの配慮を徹底することで、リスクを最小限に抑えながら成果を最大化することができます。

またデータドリブンマーケティングを推進していくためには、データに強い人材を育成・採用するほか、場合によっては外部パートナーへ依頼することも必要になってくることもあるかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

データドリブンマーケティングとは、顧客や市場のデータを基に意思決定を行い、マーケティング施策を最適化するアプローチであり、市場の変化が激しい現代において、顧客の多様化するニーズに迅速かつ的確に対応するために欠かせない手法です。

正しいデータ収集と分析を基盤に、柔軟な改善を繰り返すことで、持続的な成長と競争優位性を実現することができるはずです。