AIでマーケティングが変わる? AIを活用したマーケティング ①

公開日:2025年10月06日 / 更新日:2025年01月03日

人工知能(AI: Artificial Intelligence)は、少し前までは一部の専門家にしか扱えない高度なテクノロジーでしたが、今では身近な家電にも搭載され、誰でも触れることのできるものになりました。

そして今、このマーケティングの世界にもAI(人工知能)が急速に広がり、新たな可能性を切り開いています。
データを驚くようなスピードで分析して効率的な戦略を提案してくれたり、さらにはクリエイティブなアイディアを生み出し、「業務効率の向上」「コストの削減」「提案力の強化」に非常に有効的だからです。

本日は、「AIでマーケティングがどう変わるのか?」というテーマで、AIがもたらすマーケティングの革新とその可能性についてご案内します。
これからのビジネスにどう活かすべきかを一緒に考えてみましょう。

人工知能(AI)とは

まずは、AIとは何かを整理していきましょう。
AIとは、人間の知能が持つ「学習」「推論」「判断」「創造」などの能力をコンピュータ上で実現しようとする技術やシステムを指します。
AIは単なるプログラムではなく、大量のデータを学び、進化する特徴を持っています。
そのため、AIは単純なルールや指示だけではなく、状況に応じた最適な解決策を提案したり、複雑な課題に対処することが可能なのです。

AIと聞くと、つい最近、誕生したもののように感じますが、じつはその歴史は1950年代までに遡ります。

1950年代。イギリスの数学者アラン・チューリングが「チューリングテスト」を提唱し、AIの基礎となる概念が誕生しました。1956年には、ダートマス会議で「人工知能」という言葉が初めて使われ、AI研究が本格的に始まりました。

そして1960~70年代の頃には、チェスのプログラムや論理的推論を行うシステムが開発されました。
しかし、コンピュータの性能が低く、大量のデータ処理ができなかったため、AIの進化は限定的でした。

1980年代になると専門知識を活用する「エキスパートシステム」が登場し、医療や製造業で実用化され、1990~2000年代には、計算能力の向上とインターネットの普及により、大量のデータを利用した「機械学習」が進化しました。
1997年にはIBMの「ディープブルー」がチェス世界王者に勝利し、大きな話題となり、AIの可能性を世界に示しました。

2010年代に入るとニューラルネットワークを基にした「ディープラーニング」が注目を集めました。
この技術により、画像認識、音声認識、自然言語処理などで大きな成果が上がり、AIは多くの分野で実用化されるようになりました。

そして現在、ChatGPTのような生成AIの登場により、AIはコンテンツ制作やマーケティング、教育、医療など幅広い分野で活用されています。
AIは単なるツールにとどまらず、私たちの日常やビジネスのあり方を根本から変える存在になっています。

AIの進化の歴史は、技術革新と共に人間社会に新しい価値をもたらしてきました。
特に近年のAIの飛躍的な進化は、私たちの生活や仕事に大きな影響を与えています。

これからもAIがどのように発展し、活用されていくのか、注目していきたいところです。

AIの分類

AIはその機能や特性に基づいていくつかの基準で大まかに「能力」「技術」「用途」の3つに分類することができます。

  1. 能力に基づく分類

AIをその知能の範囲や能力でシンプルに分ける方法ですが、まず 特定のタスクや目的に特化し現在、実用化されているほとんどのAI:「弱いAI(Narrow AI)」と、現在はまだ研究段階ですが、 人間のように幅広いタスクをこなせる汎用型AI:「強いAI(General AI)」があります。

  1. 技術や仕組みに基づく分類

AIがどのような仕組みで動作しているかに基づく分類で、人間が決めたルールやロジックに従って動作するAI:「ルールベースAI」と、 データを学習し、チャットボットのように自らルールやパターンを見つけるAI:「機械学習型AI」、ChatGPTや画像を生成するDALL-Eのような新しいデータやコンテンツを生成するAI:「生成AI(Generative AI)」があります。

  1. 活用分野に基づく分類

AIがどのような用途や分野で使われるかによる分類で、マーケティング分析、株式予測のように大量のデータを分析して洞察や予測を提供するAI:「データ分析AI」と、翻訳ツールなどのように言語を理解し、生成するAI:「自然言語処理AI」、顔認識、音声アシスタントなど画像や音声を認識・生成するAI:「画像や音声処理AI」、自動運転車、製造業のロボットのようにロボットを動かすためのAI:「ロボティクスAI」

このようにAIは多様な形で分類でき、用途や技術に応じて異なる役割を果たしています。
AIの理解を深めることで、その可能性をさらに広げることができます。


マーケティングにおけるAI活用の可能性

マーケティングに活用できるAIとして以下のようなことが挙げられます。

機械学習型AI: データの分析・予測・最適化
マーケティングにおいて、膨大なデータを効率的に活用することは非常に重要です。
機械学習型AIは、過去の顧客データや購買データを分析し、行動パターンやトレンドを予測する能力を持っています。

これにより、ターゲティング精度が向上し、適切なタイミングで適切な顧客にアプローチすることが可能になります。
また、広告やキャンペーンの効果をリアルタイムで最適化し、リソースを最も効果的に配分できる点でも役立ち、売上予測やリードスコアリングを行うことで、マーケティング活動のROIを最大化することができます。

生成AI: コンテンツの作成とパーソナライズ
マーケティングでは、顧客に響く魅力的なコンテンツを提供することが重要です。
しかし、手作業で大量のコンテンツを作成するには時間とコストがかかります。
生成AIは、テキスト、画像、動画などのコンテンツを自動生成することで、この課題を解決します。

さらに、顧客の嗜好や行動データに基づいてパーソナライズされたメッセージを生成するため、個別対応のコミュニケーションが可能になります。
例えば、メールマーケティングや広告コピーのパーソナライズにより、顧客とのエンゲージメントを深め、コンバージョン率を向上させることができます。

ルールベースAI: 基本的な自動化タスク(特に顧客対応)
顧客対応は、マーケティングの重要な部分ですが、全てを人間が対応するのは非効率です。
ルールベースAIは、よくある問い合わせや基本的なタスクを自動化することで、コスト削減と効率化を実現します。

FAQを即座に解決するチャットボットや、簡単なカスタマーサポート業務を処理するAIが挙げられますが、これにより、顧客満足度を維持しつつ、スタッフはより高度な業務に集中することができます。
また、迅速な対応により、顧客の離脱を防ぎ、ブランドイメージを向上させる効果もあります。

これらのAI技術を適切に組み合わせることで、マーケティング全体の効率と効果が飛躍的に向上するはずです。

マーケターのためのAI活用のポイント

AIを活用する際には、マーケターの役割が重要です。
では実際にマーケターがAIをマーケティングに活用していくにはどうすればいいのでしょうか。

まず最初に、AIを使う目的を明確にすることが大切です。
AIは万能な解決策ではないため、「顧客の離脱を防ぎたい」「コンテンツ制作の効率を上げたい」など、具体的な課題や目標を設定することで、それに適したAIツールや手法を選ぶ指針が得られます。

次に、高品質なデータの準備が必要です。
AIはデータに基づいて学習し、判断を行うため、データの質が分析結果や予測の精度に直結します。
顧客データや販売データを整理し、不要な情報を取り除くことで、AIが効率的に学習し、精度の高い結果を提供できるようになります。
また、データは定期的に更新し、常に最新の情報を基に活用することが重要です。

大事なのは、AIは人間の代わりになるものではなく、補助的なツールとして活用するべきだということです。
AIの結果をそのまま受け入れるのではなく、その妥当性や精度を確認し、必要に応じて改善を加えることで、信頼性の高いマーケティング活動が実現できるはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

本日は、導入編としてAIについて、またマーケターとAIの関わりについてご案内いたしました。

次回のブログでは、AIがもたらす具体的なメリットに焦点を当て、効率化や成果向上、パーソナライズの進化、データ分析による意思決定の精度向上など、マーケティング活動における変革の可能性を詳しくご案内します。