大企業だけでなく、中小企業にもブランディングやリブランディングが必要な時代です。
ブランディングを行う上で、並行して決めなければならないのは「ブランドメッセージ」。
自社の企業理念、ビジョン、事業内容を明確にわかりやすくイメージしてもらうためのものです。
集客活動のためだけでなく、ホームページや販促物、DM封筒などにも使えて、一言で自社を表現してくれるもの。
社外に対して、自社の価値観などを表現し、共感を得ることのできるブランドメッセージはとても大切なものです。
費用や時間をかけずに社外にイメージを伝えることができますが、明確なものでないと、お客様やステークホルダー、社員にもアピールはできません。
自社を一言で伝えられるメッセージをお持ちですか?
さて、今日は中小企業に必要なブランドメッセージについてご案内します。
ブランドメッセージは「らしさ」、つまり自社の世界観、価値観などを伝えるために必要なものです。
その役割は
✔ 企業の姿勢、取り組み、世界観を伝えてくれる
✔ コミュニケーションの起点となる
✔ 社外だけでなく社内に統一感を出してくれる
社名が私たちの名前やニックネーム、ブランドロゴは容姿、ファッションであるならば、ブランドメッセージは人に与える印象。
大企業には予算・リソースの面でも余裕があるため、効果的にブランディングを行って、社名・商品名をターゲットに効果的に認知させることができます。
しかし・・・中小企業には予算や時間、人員を投下することは難しい。
そこでブランドメッセージが重要な役割を果たします。
企業の顔となるブランドメッセージ。
誰もが知っている大企業と違って中小企業は社名を見ても「イメージできること」が限られてしまう。
何をしている会社なのか・・・想像しにくい。
そこにホームページにブランドメッセージがあったらどうでしょうか。
簡単に企業の姿勢や世界観を伝えてあげることで、〇〇をしている会社なんだなとお客様に思ってもらうことができるるのです。
社員から多くの意見を募るのも1つの手ですが、さて、精査して決まったところで、果たしてこのブランドメッセージでいいのか・・・間違ったイメージになっていないか不安になります。
そんな時は、「型」にはめて確認すると良いと思います。
まずはいくつかの「型」を見てみましょう。
①らしさアピール型
自社の価値観=らしさを表現するだけのものでバリューをしっかり持っている企業には比較的、簡単に作成することができます。
例:感動のそばに、いつも(JTB)
日本大手の旅行会社であるJTBですが、100年の歴史を持ち、このブランドメッセージは170もあるJTBグループ会社全てに共通したものです。2020年に社長が交代した後も使われ続けており、いかにJTB全体で人々に感動を届けたいという想いが大切な価値観となっているかがわかります。
②宣言型
「〇〇を叶えます」だったり、「当社は△△になりたい」と自社のビジョンに沿って宣言をする方法で、こちらも比較的簡単に作成することができます。
例:服を替え、常識を替え、世界を替えていく(株式会社ファーストリテイリング)
ユニクロなどを展開するこの会社のブランドメッセージは、ファストファッションの先駆者として、“服のもつチカラ”で社会や人々の生活を豊かにしていくこと。 世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供することによって 「世界を良い方向に変えていく」。と企業の目指す社会的責任を宣言しています。
大きく飛躍し続ける企業にふさわしいスケールの大きなメッセージです。
③強みアピール型
USP=Unique Selling Propositionという意味で商品やサービスの強みをアピールする方法、言い換えれば、顧客に対して自社だけが約束できることをメッセージにしていきます。
BtoCブランディングで使いやすい方法です。
例:お、おねだん以上。(ニトリ)
このメッセージの中には「お。良い商品、お値段以上の満足感」と伝わります。
このブランドメッセージは主語がお客様になっても、企業になっても、お値段以上の良質な商品で満足感をという約束を受け取ることができます。
④事業紹介型
中小企業の場合、会社名を見ても何の会社で何をしているのか、なかなか伝わりにくいのが現状です。そのような場合。メッセージの中に事業内容を入れてしまうことで、事業紹介とブランディングを同時に行うことができます。
例:窓を考える会社(YKK AP)
単なる窓の制作会社というだけでなく、窓を考えるという言葉には、窓と企業の関わりや窓に対する愛情を感じられるメッセージになっています。このように事業内容を伝えるメッセージの中にも企業の商品に対する姿勢が現れるとより効果的です。
⑤課題解決型
社会的問題や企業が抱えがちな問題点を具体的な効果や変化。設計を言葉にしてメッセージに載せていく方法です。
例:もっとなにかできるはず(FANCL)
女性向けの化粧品会社FANCLのブランドメッセージは、美と健康を追求するのみならず、正義感を持って不安・不便・不満の「不」を世の中からなくすために、「もっとなにかできるはず」と挑戦し続ける社会問題解決型企業をアピールするメッセージになっています。
⑥関係性型
お客様を主語に私たちとはこのような関係性ですよね?このような関係となりたいと思っていますといった内容のメッセージにすることでより、顧客自らが主語となることで、共感を得ることができる方法です。
例:あなたと、コンビに、ファミリマート
このメッセージの「コンビに、」という部分はあなたにとって便利な(コンビニエンス)な関係で・・・あなたと一緒に(コンビで)・・・との想いが込められていることで、企業がもとめる顧客との関係性を表現し、親しみ感を与えています。
■ 商品・サービスの合った言葉を選んでいるか・・・その言葉から連想させるイメージまでしっかり設計しているか・・・
■ トーン・マナーに統一感があるか・・・商品やサービスのホームページを作る際に、その企業の商品をイメージしたブランドカラーや文字のフォントを設定することで世界観を統一させたり、ユーザーが理解しやすいようデザインや文章の構成をルール化したりすることは大切です。
その際の見た目・配列のバランス、漢字・ひらがな・数字・アルファベットの配合バランスや句読点の位置にも注意しましょう。
■ すでに使われていないか・・・
検索をかけて一般的な調査をする。競合と類似していなく、独自ポジションが築けている
■ 社内外とも意味が通じるか
可能性や明るい未来を描ける言葉になっている言葉になっているでしょうか?
■ 求心力があるか・・・人の心をつかみ、人をまとめる強い言葉になっているか。
共感をしてもらえるか、愛着もって使えるかという点に注意しましょう。
■ シンプルないい回しか・・・考えなくても理解できるほどシンプルでわかりやすい言葉をつかっているか。
抽象的な言葉は使わないようにしてください。
■ 使いやすいか・・・実際に使うシーンまでイメージし、設計できているか。
響きリズム感、いいやすさが大切です。
いかがでしょうか?
ブランドメッセージは社外に向けてもそうですが、社内、企業で働く一人ひとりが愛着をもって使用できなければ意味がありません。
記憶に残り続け、伝わるメッセージを作ることはなかなか難しいことです。
まずは周りに見かけるブランドメッセージを見て、どんなメッセージは自分の印象に残るのか・・・センスを磨き、受け取り手の感性を高めていくことが大切です。
ぜひこの記事を参考に、いろいろな角度から自社の商品・サービスを捉え、インパクトがあり、共感を得られるようなメッセージを発信してみてください。