2020年から続くコロナウイルス感染症パンデミックによって今ではeコマースまたはECサイトなどと呼ばれる電子商取引=ネットショッピングで買い物をする人が増えています。
コロナ渦といった要因ばかりでなく、こういったeコマースは実店舗のようにテナントを持つ必要がないため、さまざまなコストの削減になるということも、近年、市場が拡大されつつある要因の1つです。
近年のeコマースの発展に伴い、紙媒体であるDMの存在価値はどのように変化しているのでしょうか?
「一般社団法人日本ダイレクトメール協会」の調査では、一週間に平均で男性は6.8通、女性は7.2通のダイレクトメールを受け取っています。
世帯で受け取るDM3019通のうち、自分と家族宛てのもので開封、閲読されたのは54.3%
自分宛のDM1937通のうち開封、閲読したのは63.1%
レスポンス率は15.1%
この調査で注目すべきは、このレスポンスです。
これまでの購入した、資料請求した、問い合わせたといった行動に加えて、
インターネットで調べた6.7%
話題にした3.9%
来店した1.4%
今回の調査でこれまで把握されていなかった間接的行動が測定でき、これまで数%しかないと言われていたレスポンス率が実際は数倍あったことがわかりました。
レスポンスとしてWebなどのeコマース媒体への誘導が1番多く、DMから口コミ、DMからネット検索や来店喚起などのクロス効果も期待できるでしょう。
新型コロナウイルスの影響を見てみると、「ショッピングやイベントなどには行きたいが、多くの人が集ま りそうなところは避けたい」71%が最も多く、「物を買う時には店舗や百貨店よりも通販やネットショッピングを利用することが多くなった」45%が続きました。
こうしたネットショッピングが中心となりつつある今、Webへの誘導がDMの大きな役割となっていくと思われます。
もう1つ興味深いのは、年齢層別に見ると男性20代37.1%、女性20代27.7%とDMが若年層に対して高い訴求力があるということです。
彼らは生まれてからSNSをなどのネット社会に囲まれて育ってきており、毎日、山のように届くメールには実際のところ、飽きてきており、それに対応できていない若者が多いのがその理由の1つです。
だからこそ郵便で届き、実際に手に取る紙DMが新鮮に映っているのではないでしょうか。
こういった市場調査を細かく見てみると、eコマース市場が成長を迎えている今でも、DMは重要なマーケティング戦略の1つになっているということがわかります。
せっかくDMを送るのであればクリエイティビティあふれるものにして、送った相手に好印象を与えるDMにしたいものです。
とにかく色々な情報がごちゃごちゃといっぱいで何の目的で送られてきているのか不明なDMや、とにかく売り込みが強いばかりでキャッチセールスのようなDMは見る気も失せてしまいます。
また毎回、同じような内容のDMはもまた来たか・・・とやはり見る前にゴミ箱行きになってしまうでしょう。
一方で文字が大きくて見やすいDM、何のDMなのか理由が簡潔で明確なものはすんなり理解でき、もう少し内容を知りたいとWebへの誘導率も高くなります。
また、絶妙なタイミングで、「まもなくポイントが失効されます」などとパーソナライズされたDMを送り、きめ細かい顧客管理をアピールすることも大切です。
2020年から続くコロナウイルス感染症パンデミックによって非対面・非接触のライフスタイルを余儀なくされている中、郵送で顧客の手元に届くDMはどのような意義があるのでしょうか。
このコロナ禍の1年はテレワークが推進され、オンラインだけでの仕事や友人との付き合いで、ネット経由のコミュニケーションでは不十分だと感じると思った方が多いようです。
EメールやSNSでは伝えきれない温かみ、丁寧さなどを伝える手段としてDMは対面とEメールの間を埋める手段とも言えます。
実際に手に取り、封筒の色、文字色、ロゴなど何度も目にすることで、記憶にも残りやすい。
印刷や紙の匂いから視覚・触覚・嗅覚から訴えてくる。
そこにデジタルでは表現できない紙であることの大きな魅力があります。
ヨーロッパでは、郵便事情があまり良くないこともあり、あまりDM販促が盛んに行われていないといいます。
国民性だけのせいにはできませんが、配達員が郵便物の宛名をきちんと読まなかったり、宛先が間違っていても誰かのポストに入れてしまえばそれで終了ということもあるようです。
一方で、荷物、手紙が確実に届けたいところに時間通りに届けられる日本の郵便。
これは郵便物に限ったことではありませんが、あらゆる事において時間通り、確実に物事が遂行されるという点において世界的に評価されています。
DMは、このような日本社会が背景にあってこそのマーケティング戦略といえるでしょう。
このように今後もDMは重要なマーケティングメディアの1つであることに変わりありません。
紙媒体のDMのだからこそ温かみのある関係を受け取り側と築けるということが最大の魅力です。
そして、eコマースが発展している今だからこそ、開封率の高いDMを作成することことで、DMからWeb媒体への誘導を促すという存在価値が生まれているのです。