人間にはNeedsとWantsの心理が存在し、マーケティングでは特にこのNeedsの概念を重要視しています。
Needs(ニーズ)とは、人間が生活していく上で感じる「現状」のさまざまな不安や不満を「理想」と比較したときのギャップです。
そしてその本質的なNeeds(ニーズ)がこのギャップを埋めたい、解消したいと思うWants(欲求)です。
Needsは目的、Wantsは手段、少し例をご紹介します。
・「寒いから暖かくなりたい」これは目的、「だからコートが欲しい」これが手段です。
・「仕事を効率的に進めたい」だから「新しいパソコンが欲しい」
・「喉が渇いたから喉を潤したい」だから「なにか飲みたい」
いかがでしょうか。
Needsは口に出すことはあまりなく、口にしている〇〇したいとは、Wantsです。
さて、このNeedsとWantsの違いがわかったところで、今日はこのNeedsとWantsをどのようにマーケティングに活用していくかについてご案内します。
商品・サービスが売れないのは「必要だけど欲しくない」「欲しいけど必要ない」「必要もないし欲しくもない」顧客の心理がこのような状態だからです。
Needsしか感じない顧客にとっては、値段が安かったり、使っていたものがなくなったりすれば「買わなくてはならない」というWantsの心理状態になり購買行動につながります。
一方で、その商品に何らかのこだわりがあったり、ある程度高額商品の場合「欲しいけど今いらない」という心理状態に顧客は陥りますね。
では、このような場合は、どのようなメッセージを送れば「今、欲しい!」というNeedsの心の動きを変えることができるかを考える必要があります。
その場合にはまず、本質的なNeedsを見つける必要があります。
① 「ベッドが欲しい」といったお客様のWantsがあります。
②では、 このベッドがあると、どんな良いことがあるのでしょう
③「 引っ越しをするので、心機一転、新しいベッドを置きたい」 (Needsが出てきます)
④ なぜ心機一転、新しいベッドを置きたいのでしょう
⑤ 「このベッドは柔らかさがちょうどいいので、ゆっくり眠りたい」(さらに掘り下げたNeedsがでてきました)
⑥ なぜゆっくり眠りたいのでしょう
⑦「 仕事が忙しいので、1日の終わりにベッドの上で読書などゆったりとした時間を過ごして心身ともにゆっくり休みたい」
このお客様のWantsは「ベッドが欲しい」です。
でも、こうして質問を重ねていくと「仕事が忙しい、1日の終わりにベッドでゆったりとした時間を過ごしたい、ゆっくり眠りたい、心身の疲れを取りたい」という、たくさんのより本質的なNeedsを見つけることができました。
こうして何度も質問を続けてNeedsを掘り下げていくことがコツです。
例えば、「留学したい」はWantsです。「英語を話せるようになりたい」というのもWantsです。
「外国人ともコミュニケーションを取りたいから」」「異文化を理解して自分の仕事に活かしたいから」というのはNeedsになります。
さらに掘り下げると「英語を身に着けて海外に住みたい」「英語力をつけてより給料の良い仕事に就きたい」などの潜在ニーズがあるにちがいありません。
このNeedsを見つけ出し、その商品・サービスが「欲しい」と思わせる、または「必要だ」と思わせるようなアプローチをしていけばいいことになります。
これらのNeedsやWantsはタイミングにも大きく左右します。
商品・サービスによって年間行事を意識して、Needsの高いタイミングに広告を打つことで全体が底上げされることになります。
例えばレストランのNeedsとWantsの違いを考えてみましょう。
なぜ、12月・3月・8月は忙しいのか・・・
→イベントの多い月だから
イベントの多い月
→人が集まって食事をする機会が多い
12月は忘年会・仕事納め
3月は節句・送迎会・卒業式
8月はお盆
つまり食べたい時にWantsがある時にレストランに行くのではなく、外食する必要性があるからNeeds外食をしているということになります。
では暇な2月はどうやって売上をあげればいいのか・・・
→暇な時に販促を行っても意味がない
ですから、しっかりと年間販促を立てて、売上が上がりやすい月にあえて集中して販促を行う!ということになります。
顧客の心理状態がわかったら、次にどのように伝えたらターゲットは「買いたい」と思ってくれるのかどうかを考えてみましょう。
気をつけなければならないのは、両方のターゲットに伝えようとしないことです。
「いかにWantsを高めるメッセージにするか」「いかにNeedsを高めるメッセージにするか」を考えてみましょう。
・Needsが高いのにWantsが低い場合
駅前にオープンした新しい美容室
「今度、同窓会もあるし、髪の毛をセットする必要があるのだけれど、駅前の美容室は行ったことがないし、上手なのかわからないし、どうしよう」
このターゲットに「仕上がった髪型の写真と、全日本美容技術選手権大会で優勝したスタイリスト」とメッセージを投げかけたらどうでしょうか。
次に
・Wantsが高いのにNeedsが低い場合
新商品の栄養サプリメント
「新しい商品かな。最近肌荒れもひどいし欲しいけれど、高いし、今あるものを飲んでからにしないと・・・」
このターゲットに「このサプリメントは現代人に不足しているミネラル分をたっぷり含んでいます。1日1回摂取するだけで、1日に必要な栄養素が取れます。しかも原料は全て自然のもの!人工調味料等は一切使用していません」とメッセージを投げたらどうでしょうか。
このようにNeedsとWantsのどちらが高いターゲットなのか、そして買わない気持ちが考えて、どのようなメッセージを伝えれば「買いたい」と思ってくれるのかを想像して感情を喚起できるようなキャッチコピーをつくる工夫をすることが大切です。
いかがでしたでしょうか?
NeedsとWantsは混同しやすいですが、目的なのか手段なのかと考えていくことで顧客の心理を理解しやすくなります。
まずはニーズを見つけ出す。
そしてウォンツがわかっている「今すぐ顧客」には、商品・サービスのメリット、スペックを伝えて購買促進のアプローチをするべきですし、ウォンツが決まっていない「お悩み客」には、自社の商品・サービスはニーズの解決策として最適だということをアプローチするべきです。
また逆のウォンツがわかっていてニーズがわからない「いつか顧客」商品・サービスの必要性を感じていただきニーズを高めるアプローチをすると効果的です。
この顧客のニーズとウォンツをどのようなメッセージで伝えるのか、を言語化させ、DMやチラシなどでは、顧客が1番最初に目に触れる箇所に、インパクトだけでなく共感性も高められるようなものを配置して売上につなげていただきたいと思います。
ぜひ、この記事をお役立てください。