STP分析とは自社の商品・サービスのターゲティングをするために必要なフレームワークの1つです。(STP分析とは・・・その目的を解説)
セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)それぞれに分析を行い、マーケティング戦略の明確化や顧客ニーズの把握、競合他社との差別化を図ることを目的に行う手法です。
このSTP分析を効果的に行うために必要なのが『6R』。
企業が想定するターゲットと実際のメインユーザーが異なってしまうことはよくあることですが、『6R』を用いることで分析内容が偏ったりするのを防ぎ、客観的に絞り込んで顧客視点で考えることでき効果的なマーケティング戦略の実施につながります。
本日はこの『6R』をご案内します。
『6R』のフレームワークは、以下の6つの言葉の頭文字からきています。
Realistic scale(市場規模)
Rate of growth(成長性)
Rival(競合の状況)
Rank(優先度)
Reach(到達可能性)
Response(測定可能性)
1【Realistic scale(市場規模)】自社商品・サービスの市場規模を示す指標
自社の商品・サービスが売れる見込みの市場でなければ、どれだけアピールしても利益は生まれません。
市場が大きければ利益を大きくすることもできますが、競合他社が多く、競争に勝ち残っていかなくてはなりません。
ニッチな小さい市場では、大手企業が参入していないことで、高度な技術が必要な産業では高い収益を挙げられる可能性がありますが、利益は少なることも考えられます。
最低限の顧客を確保でき、その拡大が見込める市場を選び、ビジネスとして成り立つかを考えることが大切です。
2【Rate of growth(成長性)】市場の成長率を示す指標
ビジネスを継続していくには将来的な市場の動向、成長率にも注目する必要があります。
対象とされる市場の売上高・シェア・発売された競合の商品・サービスの種類や消費額・トレンド傾向などから判断し、成長性を分析します。
大きな市場であっても、衰退し立ち行かなくなる可能性はあります。
また、小さな市場でも今後、成長する見込みのある伸びる市場であれば参入していく価値はあります。参入する市場がどのような状況か、成長性を見据えることが必要です。
3【Rival(競合の状況)】競合他社の商品やサービス、シェア獲得の範囲を把握する指標
ターゲティング対象の市場にいる競合を調査するフレームワークになります。
競合が多かったり、大手企業のシェアが高い場合でも、自社の強みがあれば新規参入できる可能性もあります。
売上・利益率・広告費・販売管理費用・開発の状況・販売ルート・営業方法・顧客に対するサポート・地理的環境などを中心に自社と他社の状況を比較し、「差別化を図れるか」「優位性を持てるか」を判断することが大切です。
4【Rank(優先順位)】自社商品・サービスがユーザーにとって優先順位が高いかを計る指標
ターゲティング対象の市場の優先順位に注目するフレームワークです。
自社が攻める市場において、メディアやSNSでの拡散力、メディアやインフルエンサーに拡散されやすい商品・サービスであれば、波及効果が高くなるため優先度は上がりやすくなります。
また現時点での自社のシェア率、自社の商品・サービスに対してユーザーの関心が高ければ、ターゲティング市場でも注目を集めやすくなり、優先順位も高くなります。
まずは顧客層の分布情報・男女比率・興味分野などの把握をし、市場の顧客層に自社製品が合致しており、マーケティングがしやすいかなども重視しなければ、商品・サービスに興味を持ってもらえず、売上を見込めません。
5【Reach(到達可能性)】ターゲットに対して的確にアプローチできるかを判断する指標
企業はターゲットに対してさまざまなプロモーションを仕掛け、顧客が実際に商品まで到達できるかを考えることも必要です。
販売チャネルや、広告・コンテンツメディアなどの確保、具体的なツールとして、チラシ・SNS・Webサイト・ランディングページ・動画広告など。
市場に参入する際は、ターゲットに到達する手段が確立されているか、されていないならどうすれば到達できるのかを検討することが大切です。
6【Response(測定可能性)】ターゲットにアプローチした効果を測定できるかを判断する指標
ターゲティング対象の市場の測定可能性を検討するフレームワークです。
どのようなマーケティング戦略においても、顧客の反応や効果を測定できなければ、効果のあった戦略を把握することができません。
反応を測定できる市場であれば、改善案を考えられるだけでなく、チームや企業全体のモチベーションの維持、コスト調整も期待できます。
・費用対効果を上げる
いかに費用対効果よくマーケティングを行うかが多くの企業の課題です。
いくら多くの収益をつくれたとしても高額な広告費用をかけたのと、同じ売り上げでも広告費用がほとんどかかっていない場合とでは、後者の方が利益が高くなるのは当然です。
ターゲティングに失敗してしまうと、商品・サービスを購入する可能性の低いユーザーに一生懸命、マーケティングを行うことになってしまいます。
しっかりとしたターゲティングは、このようなムダな支出を防ぐことができます。
・CV率の高い顧客に届く
自社の商品・サービスがどのようなユーザーに利用されているのかを分析、把握することで、ターゲットを絞り込むことができます。
コンバージョンが低い顧客に勧めても「自分に合わない商品・サービスを勧めてくる業者」という悪評が立つばかりか、ムダな費用をかけてしまいかねません。
コンバージョン確度の高い顧客に対してコストをかけてアプローチすることで、より効率的なマーケティングを行うことが可能になります。
・差別化ができる
競合他社のひしめく市場へ参入すれば顧客の取り合いになることは避けられません。
ターゲットを絞り込むことで、見込み客の母数は少なくなりますが、他社との競合を避けられ、自社を選んでもらいやすくなります。
このようにターゲティングを行うことは他社の商品・サービスとの差別化をすることにも繋がるのです。
・ファン化に繋がる
商品・サービス購入前のユーザーは、「自分の悩みは自覚しているものの、それを解決できる手段を知らない」「自分の悩みを自覚し、解決方法を探している」状態です。
適切なターゲティングを行うことで、このような段階のユーザーに情報を届けることができます。
ユーザーにとっては、求めている情報をくれたとして、購入前から親近感や満足感が高い状態になり、購入後もフォローしていくことでファン化に繋げていくことができます。
いかがでしたでしょうか。
ターゲティングを行う際はSTP分析が軸となりますが、このSTP分析には「6R」と呼ばれるフレームワークを意識することで、より戦略的な市場の選定が可能となります。
6Rを行う際は、それぞれの項目に注目しすぎるのではなく、6つのフレームワークを総合的な視点で捉えることを意識しましょう。
ぜひこの記事が皆様のターゲティングの参考になれば幸いです。